アレルギー
2017年06月13日更新 2017年03月06日公開

大人のアトピー発症と腸内環境の関係とは

大人になって発症する場合もあるアトピー性皮膚炎。近年、症状の軽減には腸内環境を整えることも症状を軽減する一助となると注目されています。アトピー性皮膚炎と腸内環境の関係について、ドクター監修の記事でお伝えします。

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アトピー性皮膚炎は、かゆみをともなう皮膚炎です。幼児期に発症することが多いものですが、大人になって発症する場合もあります。症状の背景にあるとわかってきたのが、アレルギーやストレスの関与です[1]。症状の軽減には、こうしたアレルギーの原因を遠ざけたり、ストレスを軽くしたりすることが有効となります。一方で、治療に加え、腸内環境を整えることも一助になると注目されるようになってきています[2, 3]。

ドクター監修のもと、アトピー性皮膚炎と腸内環境の関係について、詳しく解説していきます。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、改善や発症をくりかえしながら長期間続く皮膚炎のことを指します。乳幼児期に発症することが多いですが、大人になってから発症する場合もあります。アトピー性皮膚炎は、かゆみをともなう皮膚の炎症が主な症状で、喘息やアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などのアレルギー症状を併発する場合も多くあります[1]。症状がひどい場合、白内障や網膜剥離なども引き起こす可能性があるので注意が必要です。

アトピー性皮膚炎は、日本や海外でも増加傾向にあると報告されています[4]。症状や期間については個人差がありますので、根気強く治療を続けていくことが大切です。

アトピー性皮膚炎の原因

体質

アトピー性皮膚炎には、2つの体質が大きく影響しています。ひとつは、アレルギー素因をもっている、アレルギーを起こしやすい体質の人です。もうひとつは、外からのさまざまな刺激に対する防御機能が低い「皮膚過敏性」の人です。

また、免疫に関連する、リンパ球の一種であるTh1細胞とTh2細胞のバランスが崩れている状態ともいえ、これらのバランスをとることが症状改善の一つにつながると考えられます。

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療には、「薬物療法」「スキンケア」「悪化因子への対策」の3つを中心に取り組んでいくことが重要です[1]。中でも「悪化因子への対策」は、生活習慣やストレスにかかわる部分が大きく、見直すことで症状の改善が見られる場合もあります。

食事と腸内細菌の関係とは

植物性食品で変わる腸内細菌

現代の食生活は欧米化が進み、肉や脂質、糖質の摂取量が増えました。食生活の変化によって腸内環境が変わるともわかってきています[5]。例えば、米国ハーバード大学によって2014年に有力科学雑誌のネイチャー誌に報告された動物実験の研究によると、食べ物の中心を「動物性食品」から「植物性食品」に変えると、わずか1、2日で腸内細菌の内容が大きく変化すると報告されています[6]。

細菌の刺激を受ける

「子どもには積極的に外遊びをさせるなどするとよい」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。腸内細菌とアトピー性皮膚炎との関係は明らかでない部分もありますが、実際、さまざまな微生物と接することが健康につながる可能性を示す研究結果が増えており、注目されています[7]。生活環境の変化が、アレルギー素因と関係する原因のひとつであるようです。

かつての日本は、家の周囲に田畑があったり、家畜を飼っていたりするなどして、多くの細菌に触れながら暮らしていました。たくさんの細菌にさらされることで、身体は「非アレルギー体質」にシフトしていく可能性があります。

腸内環境とアトピー性皮膚炎の関連

私たちの腸内には、およそ1000種類、100兆個もの細菌が生息しているといわれています[8]。

さらに、最近では、腸内細菌は、アトピー性皮膚炎と関連することまで判明しつつあります[9]。人間の赤ちゃんを調べた研究では、健康な子では、腸内細菌としてビフィズス菌をはじめとした特定のタイプの細菌が目立ったのに対して、湿疹がある子では、大腸菌をはじめ健康な子とは違ったタイプの細菌が目立つことがわかりました[10]。

腸内環境を整える方法

腸内環境を整える方法として、ヨーグルトや乳酸菌飲料のほか、納豆などのビフィズス菌や乳酸菌を含んでいる食材を食べること、食物繊維やオリゴ糖を摂取することなどがあげられます。オリゴ糖や食物繊維は、腸内細菌の栄養源となります。多くの食材に含まれているので、食材を変えながら継続して摂取するとよいでしょう。

多くの研究がなされていますが、現時点ではビフィズス菌や乳酸菌などのプロバイオティクスがアトピー性皮膚炎の症状を改善するという明確な報告はありません[11]。しかし、プロバイオティクスがもつとされるTh1細胞とTh2細胞のバランスを整える効果や、腸内環境を整えることによる免疫力向上などのアトピー性皮膚炎以外の症状へのメリット[12]という観点から、今後さらなる研究が待たれます。

参考文献

  1. [1]デニス・L・カスパーほか編 福井次矢ほか監修. ハリソン内科学 第5版. メディカル・サイエンス・インターナショナル 2017
  2. [2]Hong SW, et al. Beyond Hygiene: Commensal Microbiota and Allergic Diseases, Immune Netw. 2017; 17(1): 48-59
  3. [3]Matsumoto M, et al. Antipruritic effects of the probiotic strain LKM512 in adults with atopic dermatitis, Ann Allergy Asthma Immunol. 2014; 113(2): 209-216
  4. [4]Lee JS, et al. Correlation Between Socioeconomic Status and Atopic Dermatitis in Korean Adults: The Korea National Health and Nutrition Examination Survey (2007-2014), J Eur Acad Dermatol Venereol. 2017 May 18. doi: 10.1111/jdv.14343. [Epub ahead of print]
  5. [5]Zarrinpar A, et al. Diet and feeding pattern affect the diurnal dynamics of the gut microbiome, Cell Metab. 2014; 20(6): 1006-1017
  6. [6]Turnbaugh PJ, et al. An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest, Nature. 2006; 444(7122): 1027-1031
  7. [7]Oh JZ, et al. TLR5-mediated sensing of gut microbiota is necessary for antibody responses to seasonal influenza vaccination, Immunity. 2014; 41(3): 478-492
  8. [8]福田真嗣. もう一つの臓器―腸内細菌叢の機能に迫る, 化学と生物 2014; 52(9): 565-567
  9. [9]Kääriö H, et al. Exposure to a farm environment is associated with T helper 1 and regulatory cytokines at age 4.5 years, Clin Exp Allergy. 2016; 46(1): 71-77
  10. [10]Zheng H, et al. Altered Gut Microbiota Composition Associated with Eczema in Infants, PLoS One. 2016; 11(11): e0166026
  11. [11]加藤則人ほか. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016年版, 日皮会誌 2016; 126(2): 121-155
  12. [12]八村敏志. 乳酸菌の免疫調節機能, 日乳酸菌会誌2007; 18(2): 54-57

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