感染症
2018年08月01日更新 2018年08月01日公開

食あたり・食中毒を引き起こしやすい食べ物

夏に多い食あたりや食中毒。その予防法や具体的に気をつけたい食品について、原因菌やウイルス別の症状や潜伏期間とあわせて説明します。また、家庭や外食、屋外などで注意したいポイントについてもご紹介します。

食あたりの原因にもなる生牡蠣

高温多湿な夏は、カビや細菌、ウイルスなどの増殖や、冷たいものの食べ過ぎなどによって、おなかの調子を崩しやすい季節です。そのような季節の食あたりや食中毒を防ぐには、どのような食べ物に気をつけるべきなのでしょうか。自炊や外食での予防ポイントとあわせてご紹介します。

「食あたり」ってどういう状態?

食あたりとは、食べ物・飲み物によって、腹痛、下痢、嘔吐(おうと)などの中毒症状を起こすことで「食中毒」とも言います。

食中毒の原因には食べ物・飲み物に付いた細菌やウイルス、有毒物質などがあります。なかでも細菌やウイルスによって中毒が起きることが多く、高温多湿な夏は特に細菌性の食中毒に注意が必要です。

細菌とは目に見えないほど小さい単細胞で、栄養源さえあれば自ら増殖することが可能です。一方、ウイルスは細胞を持たず、他の生き物の細胞に入り込んで自己を複製します。細菌は抗生物質などの抗菌薬で退治できますが、ウイルスには効きません。

細菌による食中毒が多く発生するのは、細菌が増殖しやすい6~9月ごろです。また、ウイルスによるものは冬に流行することが多いのですが、夏にまったくないわけではありません。細菌は、家庭で調理したものを暖かい場所に長時間置いたりすることで増えてしまうので注意しましょう。

食中毒とは違いますが、暴飲暴食や冷たいもののとりすぎ、食べ合わせの悪さなどでも腹痛や下痢・嘔吐を起こすことがありますので気をつけましょう。たとえば夏に冷たい飲料を飲みすぎて下痢を起こしたり、乳糖不耐症の人が牛乳を飲んで消化がうまくできず、おなかがゴロゴロと痛くなる例などがあります。

食あたり・食中毒の原因と主な食べ物

食中毒を起こすもととなる物質は数多くあります。おもなものとしては、細菌やウイルス、化学物質、自然毒、寄生虫やカビなどがあります。

食中毒の原因となりやすい食べ物や、食べてから発症までの期間、主な対策方法を覚えておきましょう。

サルモネラ菌

気をつけたい食べ物
牛・豚・鶏などの肉料理(特にレバー刺しやユッケ、鳥わさなど加熱不十分な食品)など

もともとは動物の腸内に存在する細菌で、食肉加工の際に付着したり、鶏卵の表面や内部に菌がついていることもあります。食べてから6時間~2日程度で激しい吐き気や下痢、腹痛、頭痛などの症状があらわれます。食材は購入後、冷蔵庫で保管して早めに食べることが大切です。また、食べる際は十分に加熱し(75℃以上で1分以上)、卵の生食は新鮮なものだけにしましょう。

黄色ブドウ球菌

気をつけたい食べ物
おにぎりや巻き寿司、弁当・惣菜・調理パンなど手作業を施す食べ物など

ヒトの皮膚や鼻、髪の毛などにいる常在菌です。また、傷口が化膿したときの原因菌にもなるため、化膿した切り傷やニキビの中にも多く存在しています。調理時に手をよく洗わなかったり、ニキビや傷に触れた手で調理すると食べ物に付着してしまいます。食後30分~6時間、平均3時間で急激な嘔吐や吐き気、下痢が起こります。夏場は料理を作ったり買ってきたら早めに食べ、保存する場合は冷蔵庫に入れて菌の増殖を抑えましょう。

腸炎ビブリオ菌

気をつけたい食べ物
刺身、寿司など生鮮魚介類を使った食品など

海水にいる魚や貝に生息している細菌です。上記の食品のほか、調理に使ったまな板や包丁、手指を介して他の食品に広がるおそれがあります。食べてから4時間~96時間程度で激しい下痢や嘔吐、腹痛・発熱に見舞われることがあります。塩分を好む菌なので調理前に真水でよく洗い、短時間でも冷蔵庫で保存するよう心がけましょう。また、加熱(60℃で10 分間)すれば死滅します。

カンピロバクター

気をつけたい食べ物
十分に加熱されていない食肉(特に鶏肉)、洗っていない生野菜、井戸水・わき水など

家畜や犬・猫など動物の腸にいる細菌です。動物に接触した際やふん便処理の際に汚染された手指を介して感染したり、食肉加工の際に汚染された食品や水などから感染します。食べて2~7日程度で水下痢や吐き気、腹痛、血便をともなう腸炎症状や倦怠感、筋肉痛などがあらわれます。鶏肉などの食肉はよく加熱(65℃以上で数分)し、調理器具を熱湯消毒しよく乾燥させ、食肉と他の食品との接触を防ぎましょう。

腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)

気をつけたい食べ物
生肉(特に生レバー)・加熱不十分な肉、生野菜など

家畜の腸にいる病原大腸菌で、強い毒素を産生します。潜伏期間は半日から3~5日までさまざまで、ごく軽い症状で終わるものから、水のような下痢や血便、激しい腹痛に見舞われるものまであり、時には死に至ることもあります。食肉は中心部までよく加熱し(75℃を 1分以上)、野菜類はよく洗い、冷蔵庫での低温保存を徹底しましょう。

ノロウイルス

気をつけたい食べ物
生あるいは十分加熱されていない二枚貝(牡蠣、あさり、しじみ)など

生の二枚貝が有名ですが、ウイルスに汚染された食品や水道水・井戸水、感染者の便や吐瀉物(としゃぶつ)からの二次感染も注意が必要です。食後1~2日で吐き気、ひどい下痢、腹痛などの症状が出ます。二枚貝は中心部まで十分に加熱(85~90℃で90秒間以上)し、野菜などの生鮮食品は十分に洗います。11~2月の流行期は特に手指をよく洗浄・消毒しましょう。感染者が使用した調理器具やトイレ等は洗剤などで十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度 200ppm)で浸すように拭くか、煮沸消毒します。アルコールでは殺菌できませんので注意しましょう。

ウェルシュ菌

気をつけたい食べ物
カレー、煮魚、野菜の煮付けなど煮込み料理など

酸素のないところで増殖する菌で、食後6時間~18時間(平均10時間)で発症、下痢と腹痛が主な症状です。食品を加熱調理したらすぐに食べるか、冷却をすみやかに行い、10℃以下か55℃以上を保ちましょう。作り置きするときは室温で放置せず、食べる前に十分に過熱しましょう。

その他

  • フグや二枚貝、巻貝などの動物性自然毒
  • 毒きのこ、アジサイ、スイセンなどの植物性自然毒
  • 魚の不適切な保存で生成されたヒスタミンなどの化学物質
  • アニサキスなどの寄生虫

上記の原因による中毒も食中毒に含まれます。植物性自然毒を避けるには、外見のよく似た他の食用植物と間違えないようにすることが大切です。迷ったら食べるのをやめましょう。その他の原因食品は、適切な処置、保存、調理によって食べるようにしてください。

また、妊娠中・授乳中の女性や高齢者はリステリアとトキソプラズマに、赤ちゃんははちみつに含まれるボツリヌス菌に注意するようにしてください。

食あたりや食中毒を予防するポイント

予防のためには、食中毒の原因菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」ことが大切です。また、ウイルスの場合は、ほんのわずかな量でも感染するため、調理場へウイルスを「持ち込まない」「ひろげない」ことも重要です。下痢や嘔吐をしている場合は調理場に入らず、日頃から手洗いや調理器具の消毒につとめましょう。

自宅で調理をするとき

食材に原因菌を「つけない」ためには、調理をする前の手洗いに加え、途中でトイレに行ったり鼻をかんだり皮膚に触れたりした場合も、再度手洗いをします。生肉を扱うときは、まな板や包丁はその都度洗ったり消毒したり、他の食品を一緒に切ったりしないなど、分けるようにしましょう。食品の保管は、密閉容器やラップを使って冷蔵庫などに入れ、他に細菌が移らないようにします。

原因菌を「増やさない」ためには、冷蔵庫などの冷所に保管することも重要です。マイナス10℃以下では増殖がゆっくりになり、マイナス15℃で増殖が止まります。買ってきた食材もなるべく早く冷蔵庫に入れて保管し、早めに食べましょう。カレーをたくさん作り置きしたときは、小分けにして冷凍保存するのもよいでしょう。

「やっつける」ためには加熱処理をします。肉であれば中心部が75℃を1分間続けるとほぼすべての細菌は死滅します。また調理器具等についたものも、洗剤で洗ってから熱湯や漂白剤等で殺菌しましょう。ウイルスの場合は、上記「ノロウイルス」の項を参考にしてください。

屋外での飲食・外食のとき

バーベキューで肉を焼くときは、中心部までしっかり焼いて食べましょう。生肉は生野菜など、他の食材とくっつかないようにしてください。また、生肉をつかむトングや箸は、それ以外のものと分けて使いましょう。

ピクニック用などの弁当を作るときは、高温の場所に持っていくことを考えて保冷剤などで冷やしましょう。実際に調理するときは、手を洗い、おにぎりなどはラップやビニール手袋を使って握ります。肉類は中心まで火を通し、レンジを使う場合は加熱ムラに気をつけましょう。

調理したものを粗熱を取らずに弁当箱などに詰めると、水滴がついて食中毒の原因になります。粗熱をとり、おかずもなるべく汁気を切ってから詰めましょう。お弁当や箸なども、洗剤で十分に洗って乾燥させるか、殺菌消毒したふきんできれいにふきとって使いましょう。

レストランや居酒屋で外食をするときは、上記「気をつけたい食べ物」でご紹介した生の食品を控えるのも対策のひとつです。鍋料理や焼肉など自分で調理をするときは、中心部までしっかり火を通しましょう。また、その場で食べ残したものをもったいないからと持ち帰るのは、できるだけ避けましょう。

まとめ

食あたりや食中毒の原因となるものには、細菌やウイルス、動植物に含まれる毒などさまざまなものがあります。原因となる可能性のある食べ物の取り扱いに十分注意して、ご自身やご家族の食あたりや食中毒を防いでください。

万が一、食あたりになってしまったときは、下痢や嘔吐による脱水症状を防ぐためにも水分補給を行い、消化のよい食べ物をとるようにしましょう。具体的な方法については、『胃腸炎のときの食事・食べ物、予防のための生活習慣』を参照してください。

食あたりに負けず、夏を元気に過ごしましょう!

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