便秘・下痢
2018年09月06日更新 2018年08月31日公開

痔を防ぐ・悪化させない食べ物

痔になる原因は、便秘や下痢などの便通異常によるものです。便通異常を予防し、痔を悪化させないようにするためには、食事を中心に生活を見直すことが大切です。痔を予防するための食事や生活についてご紹介します。

痔とは肛門の周囲に発生する病気の総称で、一説によると日本人の3人に1人が痔を持っているといわれるほどポピュラーな病気です。痔になるのを防ぐには、どのような食べ物や食生活を心がければよいのでしょうか。わかりやすくご紹介します。

痔の予防はまず便秘にならないこと

痔には大きく分けて、「イボ痔(痔核)」や「切れ痔(裂肛)」、「あな痔(痔ろう)」の3種類があります。

イボ痔は排便時にいきんだり、立ち仕事が多かったりして肛門に負担がかかることで起こりやすくなります。肛門周りの血行が悪くなるため毛細血管の集まる場所がうっ血し、こぶのように腫れあがる症状です。

切れ痔は硬い便を排出したり頻繁に下痢をすることにより、肛門の皮膚が切れたり裂けたりした状態です。また、あな痔は、肛門の組織に細菌が入り込むことで膿がたまり、化膿が進んで肛門周辺に痔瘻管(じろうかん)というトンネルを形成してしまう症状で、発熱や激しい痛みをともないます。

これらのなかでもっとも多いのが、イボ痔です。イボ痔は排便時のいきみが習慣化している人に多く見られるため、いきみの原因となる便秘を防ぐことも大切です。日ごろから便意を感じたらすぐにトイレに行き、できるだけいきまずに排出するよう心がけましょう。

痔を防ぐ・悪化させない食べ物と食習慣

痔を防ぐためにも、便秘はもちろん下痢も含めた便通異常を起こさないようにしましょう。毎朝排便がある、あるいは2日に1回など決まったペースですっきりと排便できるような、規則正しい排便習慣を保つことが大切です。そのために積極的にとり入れたい食べ物や食習慣についてご紹介します。

食物繊維

食物繊維には便の体積を増やして排便を促す働きがあるほか、腸内で善玉菌の「エサ」となり、腸内環境を整えるのにも役立ちます。

水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があり、水溶性のものは便をやわらかくし、不溶性のものは水分を吸収してふくらみ、便のかさを増すとともに、腸内の有害物質を吸着して排出する働きがあります。快適な便通をキープするには、どちらの食物繊維も大切です。

水溶性食物繊維は、100gあたりの含有量でいうと、らっきょう(生)、エシャロット、にんにく、ごぼう、大麦、ライ麦、納豆に多いとされています。海藻にはアルギン酸という水溶性繊維質が豊富に含まれています。果物やトマトにはペクチンという水溶性繊維質が含まれています。

大根は切り干しにすると水溶性繊維質が増加することが知られています。ただし、この食材には不溶性繊維質も含まれており、その割合が多い食材を摂りすぎるとかえって便秘になることがありますので注意が必要です。ちなみにライ麦や納豆にも不溶性繊維質が多く含まれています。

一方、不溶性食物繊維は、前述の食材以外に、とうもろこし、オクラ、ブロッコリー、きのこ類、豆類、干ししいたけに多く含まれています。また、イモ類は不溶性繊維質が多いイメージがありますが、水溶性と不溶性繊維質のバランスがよく、特にじゃがいもは水溶性の割合が多い食材です。

腸内の善玉菌を増やす食べ物

私たちの腸内には細菌がおよそ100兆個も生息しており、体の健康に役立つ善玉菌と悪玉菌、そのいずれでもない菌の3種類に分けることができます。このうち、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を高めることにより腸の運動を活性化して、便秘を予防することができます。

善玉菌を増やすには、ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、漬物などビフィズス菌や乳酸菌を多く含む食べ物を摂取するのがおすすめです。あわせて、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖も一緒に摂りましょう。オリゴ糖は、大豆や玉ネギ、ニンニク、アスパラガス、バナナなどに多く含まれています。

便秘を防ぐヨーグルトの効果や食べ方については、『便秘解消に効く?整腸作用を促すヨーグルトの食べ方』もあわせてご覧ください。

ビタミン類

イボ痔や切れ痔は、肛門付近の毛細血管が傷つくことで起こりやすくなります。そのため、血管を修復したり強くしたりするビタミン類、ポリフェノールなども積極的に摂りたい栄養素や成分です。

たとえば赤ピーマンや菜の花、レモンなどに多く含まれるビタミンCは、血管に弾力性を持たせるコラーゲンの生成を促します。アーモンドや落花生、サフラワー油などに多く含まれるビタミンEは粘膜を保護し、血行を促します[1][2]。

また、みかんの皮などに含まれるヘスペリジンというビタミン様物質(ポリフェノールの一種)には、毛細血管を丈夫に保ち、血流を改善する効果があります[3]。

水分も十分に摂取する

便秘を防ぎ、便をやわらかくするためには、水分を十分にとることも大切です。朝は起床とともに冷たい水を飲んで胃や大腸の反射を促す、日中は水分をこまめに補給するなど、水分も意識して摂取するようにしましょう。

規則正しい食事

1日3食を決まった時間に食べることで、自然な排便リズムが身につけられるようになります。特に朝食は欠かさず食べ、一定の食事量を確保しましょう。また、朝食後など決まった時間に、便意がなくてもトイレに行くことを習慣化してしまうのもおすすめです。

避けたほうがよい食べ物や飲み物

ここからは痔の発生や悪化に影響を及ぼす食べ物について見ていきます。

刺激が強い香辛料
唐辛子などの香辛料は、消化されずに便に残りやすい性質があります。そのため排便時に刺激を感じたり、痔の場合は痛みが増してしまいます。
塩分が高い食べ物や飲み物
血液中の塩分(ナトリウム)の濃度が濃くなると、それを薄めようとして腸内の水分が少なくなり、硬い便になります。
アルコール
アルコールの飲み過ぎは、腸の筋肉が収縮して食物を腸内に移動させる蠕動(せんどう)運動を過剰にします。そして腸内における水分吸収が十分に行われない状態になります。水分を多く残した軟便や下痢便が多くなり、肛門周りの皮膚の負担が高まります。
また、アルコールには血管を拡張させて血液の循環を高める働きがありますが、肛門周囲の血管は細いためそれに対応できず、うっ血を悪化させてしまうおそれもあります[4]。
脂肪分
肉類や動物性油脂をたくさん摂取すると、腸内の悪玉菌が増殖します。悪玉菌が増えると有害なガスが発生し、腸の蠕動運動を弱めるため、便が大腸内に長くとどまり便秘になってしまいます。

まとめ|生活習慣もあわせて見直しを

これまで、便秘や下痢を予防することで痔の予防・改善につながる食べ物や食生活について説明してきましたが、すべては、「快適な便通」を保つことにつながります。毎日の食事で気をつけることに加えて、生活面では以下のポイントに注意しましょう。

  • おしりを清潔に保つ
  • 入浴・適度な運動などで血行を促す
  • 長時間同じ姿勢をしない
  • 過労やストレスを避ける
  • 無理なダイエットをせず、毎日一定量の食事をとる
  • 体、特に下半身を冷やさない

ポイントを押さえて「おしりに負担のない生活」を送り、痔にわずらわされることのない快適な生活を送りましょう。

参考文献

  1. [1]伊藤壽記ほか. "ビタミンC" 統合医療情報発信サイト. http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/16.html(参照2018-08-09)
  2. [2]伊藤壽記ほか. "ビタミンE" 統合医療情報発信サイト. http://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/11.html(参照2018-08-09)
  3. [3]宅見央子ほか. "糖転移ヘスペリジンの血流改善作用" 応用糖質科学. https://www.jstage.jst.go.jp/article/bag/1/2/1_KJ00009004734/_pdf(参照2018-08-09)
  4. [4]森 朱夏ほか. "アルコールの消化管への影響" 厚生労働省e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-010.html(参照2018-08-09)

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